交通事故に対してのADRの対応

ADRとは?

ADRとはAlternative Dispute Resolutionの略で、訴訟代替手続の意味ですが、訴訟に準じた手続で法律的な整理をする機関のことです。

さまざまな争いがあるので、いろいろなADRが存在していますが、損害保険に関しては、現在は外資系および国内の保険会社に対して二つグループがあります。

今回は、国内の保険会社に対して申立ができるグループを例にとってお話を進めて行きます

交通事故に関しては民事上の損害賠償が必要なので、まさにADRの得意とするところですが、手続のポイントについて理解をしておく必要があります。

紛争解決手続の申立は、原則として保険の請求権を持つ、いわゆる被保険者が自分の権利を主張するために行いますが、損害保険の場合は、この他に事故の被害者が同じく自分の権利を主張するために行う場合があります。

自動車保険の約款は被害者の直接請求権を認めており、この直接請求権に基づいて、被害者を申立人として、ADRの紛争解決手続を直接保険会社に対して行います

訴訟の手続き

訴訟は加害者および被害者の事故当事者が民事上の損害賠償請求を起こし、保険会社は事故当事者ではないので、訴訟の結果を担保するために、保険会社に対しては訴訟告知をする手続となります。

ADRの場合は、約款上の被害者の直接請求権に基づき、保険会社をみなし当事者として申立する場合が実務として効率的なので、被害者から保険会社に対して直接申立てる場合が殆どです。

実際に申立があったと仮定してご説明をさせていただきます。

申立人から文書で申立があったら、この文書について申立人と打合せをして、当該文書を紛争解決委員と保険会社に送ります。

文書は個人情報でもあるので、必ず申立人の了解をいただいてから送る必要がありますし、送れなければ手続に入れませんので、申立人に拒否される可能性はありません。

紛争解決委員としては、交通事故に詳しい弁護士を委員として複数人リテインする必要があり、ネットワークを作っておく必要があります。

実際の申立があれば、各事案を担当してもらいます。

実際の手続では、被害者である申立人の意見聴取を行い、改めて二週間後を目途に保険会社の意見聴取を行います。

申立がされる前に、事故原因の調査や対人であれば治療状況の調査等がされている場合が殆どですので、

加害者は当時者ではありますが、保険会社が認定すれば民事上の解決はできるので、必要に応じて意見聴取を行います。

双方の(関係者含む)意見聴取終了後、委員判断ではありますが、追加調査等の手続が不要であれば、双方を呼んで和解手続を行います。

追加調査等の手続が必要であれば、その手続について、関係者の了解を取り、手続終了後に和解手続をセットします。

被害者と保険会社の担当者はADR申立前に面識があり示談交渉を継続している場合が殆どです。

解決を焦らないことが重要

紛争解決手続の中で感情的になってもいけないので、同じ場所に同時にいることは避けて、別のグループとして手続を進めるように配慮しています

委員のリードで何とか和解手続を進めることになりますが、艱難辛苦を乗り越えて各グループと調整ができれば、一件落着ですが、そこに至るまでに紛争解決委員の苦労があります。

調整ができれば、あとは和解調書を作るだけですが、当事者の署名捺印を取付ける必要があります。

まず、手続に出席している被害者の署名捺印を取り付けて保険会社に手交し、保険会社経由で加害者の署名捺印を取り付けますがここの期日管理も慎重に行う必要があります。

関係者がベストを尽くし、しかも専門家が揃っているので、かなり高い和解解決率になりますが、どうしても解決せずに訴訟に移行する場合もありますが、論を尽くした結果なのでやむを得ないと思います。